かぼちゃの成分やカロリーは?皮やわたの栄養素を知ってまるごと食べよう

カラフルでユニークな形と味わいからハロウィンやシンデレラの馬車などに使用され、子どもにも親しまれているかぼちゃ。β-カロテン、ビタミンB、C、Eなどのビタミン類、カリウム、食物繊維を含んでいる緑黄色野菜です。保存による栄養素の損失が少ないため、緑黄色野菜の少なくなる冬には大事な栄養補給源になる優れた野菜です。今回はかぼちゃの、成分・栄養・カロリーなど、知っておくと役立つ情報をご紹介します。

目次

かぼちゃってどんな野菜?

かぼちゃの名前の由来

かぼちゃの名前は、16世紀の半ばポルトガルの船が寄港地のカンボジアより持ちこまれたことに由来しています。和名の「南瓜」から分かるようにウリ科の植物です。

かぼちゃの原産地

世界各国に分布するかぼちゃは、原産地についてもさまざまな説がありますが、紀元前7000年~5500年のメキシコの洞窟の地層からかぼちゃの種が発見されたことから、中南米地域が有力。イタリア出身の探検家「クリストファー・コロンブス」によって、ヨーロッパに持ち帰られて世界中に広がったとされます。

かぼちゃの種類

日本で栽培されているかぼちゃは、日本かぼちゃ(東洋種)、西洋かぼちゃ(西洋種)、ペポかぼちゃの3種類に分けられます。40年ほど前までは、日本に初めて入った品種で、水分が多くて甘味の少ない「日本かぼちゃ」が主でした。

しかし、食生活の欧米化や嗜好の変化とともに日本かぼちゃの栽培が減少。現在では、「西洋かぼちゃ」が主流となり、特にホクホクと甘い黒皮栗かぼちゃが流通の大半を占めています。そのほか、「金糸うり(そうめんかぼちゃ)」やズッキーニ、ハロウィンなどでおなじみの鑑賞用「おもちゃかぼちゃ」など、形、食味とともにユニークな品種が多い「ペポかぼちゃ」があります。とりわけイタリア料理に欠かせないズッキーニの消費が増えています。

冬から春むけの新しい品種も登場

現代では国産かぼちゃの供給が少なくなる12月~5月は、海外から輸入されたもので占められています。そこで冬場に栽培できる新品種の開発が進み、「おいとけ栗たん」というかぼちゃも登場しました。この品種は、収穫後3ヶ月間貯蔵しても、高い糖度とホクホクとした食感をキープできるのが魅力です。

かぼちゃの栄養素・成分やカロリーは?

代表的な栄養素はβ-カロテン

かぼちゃは、β-カロテン、ビタミンB、C、Eなどのビタミン類を含んでおり、緑黄色野菜の代表格です。また、炭水化物(糖質)を多く含み、エネルギー源にもなります。そのほか、カリウムや内側から身体を整える食物繊維などもバランスよく含有しています。

葉物類に含まれるビタミン類は、長期保存により減少しますが、厚く堅い外皮のかぼちゃは栄養素が減少しにくいのが特徴です。夏に収穫したかぼちゃを冬至に食べる風習は、β-カロテンが豊富なかぼちゃが体を内側から守り、体調の維持につながったからと言われています。さらに冬は緑黄色野菜が少なくなるため、保存ができるかぼちゃは大事な栄養補給源となりました。

西洋かぼちゃのβ-カロテンは、日本かぼちゃの約5倍以上

かぼちゃは、β-カロテンを豊富に含んでいますが、特に西洋かぼちゃは、日本かぼちゃの5倍以上含有しています。また、β-カロテンは還元作用のある栄養素としても知られていますが、それ以外にも体内でビタミンAに変換され、美容や健康の維持に役立つとされています。

かぼちゃのカロリーは?

カロリーに関しては、日本かぼちゃの100g49kcalに対し、西洋かぼちゃは100g91kcalと、西洋かぼちゃの方が2倍近い高さ。ジャガイモ76kcal、白米168kcal、食パン264 kcal、サツマイモ(皮つき・生)140kcalと、いも類や穀類に比べるとカロリーは少ないように思えますが、糖質を含み、やはり食べ過ぎると太る原因となるので注意しましょう。

種にも豊富なかぼちゃの栄養素

必須脂肪酸のリノール酸を多く含むかぼちゃの種

かぼちゃの種には、リノール酸(オメガ6脂肪酸)などの不飽和脂肪酸をはじめ、ビタミンE、B1、B2、ナイアシンなどの栄養素が含まれています。リノール酸は、体内で合成できない必須脂肪酸で、他の脂肪酸と一緒にバランスよく摂取することで健康をサポートします。

かぼちゃの種は食用になるので、クルミやアーモンドのように使用されていますが、このように栄養価が高いため、近年では、種ごと食べるかぼちゃ「ストライプペポ」という品種の研究もなされています。

実とわた・種・皮の栄養素を比べてみました

かぼちゃの「実」「皮」「わた・種」の栄養素を調べると、一部の栄養素、ビタミンAや食物繊維などは、一般的に食べられる「実」「皮」より「わた・種」に豊富に含まれることがわかりました。

100gあたりの「実」「わた・種」「皮」の栄養素を比較しました。ビタミンAは、実132μg、わた・種259μg、皮284μgと、わた・種・皮に実の2倍近く。食物繊維に関しては、実2.3g、わた・種11.7g、皮4.1gで、実の約2倍〜5倍。その他、カリウムやポリフェノールについても実より多くの栄養素が「わた・種」に含まれていることがわかりました。

このように、かぼちゃはまるごと栄養たっぷりなのです。

かぼちゃの栄養素をしっかりととる方法

かぼちゃの選び方

皮の表面につやがあり、形が整っていて色むらがないものがベスト。手にとってみた際、重いものがいいでしょう。ちなみに見た目にゴツゴツと深い溝があり、表面のツヤが消えて、爪で押しても立たないほど皮が硬いものが完熟している証拠です。

カットされたものは、果肉の色がオレンジ色で肉厚なものに甘味があります。さらにわたと種がぎっしりと詰まっていて、表面がみずみずしいものを選びましょう。

かぼちゃの保存方法

かぼちゃは長期保存が可能で、丸ごとなら10℃前後の風通しの良いところであれば1~2ヵ月保存できます。カットしたものは、種やわたの部分から傷みはじめるので、スプーンできれいに取り除いて、ラップをしてから冷蔵庫の野菜室に保存すれば、4~5日はもちます。

冷凍保存する場合は、種とわたを取り除いた上で切り分けて加熱し、冷ましてからバットなどの調理皿に並べて冷凍しましょう。密閉容器に入れれば、1~2ヵ月保存が可能です。

種は中身を無駄なく食べよう

かぼちゃの種には、リノール酸(オメガ6脂肪酸)などの不飽和脂肪酸をはじめ、ビタミンE、B1、B2、ナイアシンなど幅広い栄養素が含まれています。オーブンやトースター、フライパンなどで乾燥させ、外側の皮はハサミや爪切りなどを用いて白い部分に切り込みを入れて割り、中身を食べましょう。

かぼちゃのわたは実と一緒にスープに

わたにもβ-カロテンが豊富に含まれているので、新鮮なものが手に入ったらぜひ利用を。わたと実を一緒に煮込んで、ミキサーにかけてスープにしたり、細かく切ってカレーに入れたりするなど、ひと工夫をして、日々の生活にとり入れましょう。

長期保存ができる上に、さまざまな栄養素を含んでいるかぼちゃ。特に還元作用のあるβ-カロテンが豊富なほか、種やわたにも栄養素が含まれ、捨てることがない緑黄色野菜なのです。うまく活用すれば、私たちの健康維持のサポートをしてくれそうです。

部位100g当たり栄養分析値(当社調べ)

※横にスワイプすると表をスライドできます。

野菜 100g当たり栄養成分 構成比 食物繊維 g/100g カルシウム mg/100g カリウム mg/100g ビタミンA μg/100g ポリフェノール mg/100g
コーン 33% 15.3
67% 5.6
枝豆 さや 45% 12.0 138 314 80
55% 5.8 84 691 60
ビーツ 10% 4.3 39 210
果肉 90% 2.2 13 80
パプリカ 種、わた、へた 12% 7.2 34 711 20 120
果肉 88% 1.3 7 261 90 30
えんどう豆 さや 47% 7.1 95 50
53% 4.2 25 30
にんじん 10% 4.5 51 759 613 80
果肉 90% 2.8 26 315 807 10
かぼちゃ 種、わた 16% 11.7 22 726 259 70
果肉 84% 2.5 17 442 146 30

監修 : 尾上 雅子(管理栄養士)

大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。